はじめに
以下のエントリーでも書いたとおり、今年のGW期間中に行われたKubeConにて2件のセッションを採択いただき、スピーカーとして登壇していました。
前回エントリーでは応募のきっかけを大まかにまとめましたが、そこからどのようにしてセッションを考えたかや、CfP(Call for Proposal)を提出するにあたってどのように進め、登壇内容を作り上げるにあたって行った調査などにもある程度踏み込んで書き記します。なお、セッションとしては2件でしたが、パネルのほうは録画のみで資料が残っていないため、Resource Requests/Limitsについて発表した以下セッションのみ取り上げていきます。
- はじめに
- Resource Requests and Limits Under the Hood: The Journey of a Pod Spec - Kohei Ota, Hewlett Packard Enterprise & Kaslin Fields, Google
- やるぞ!ってなったときの小話
- CfPの話
- 技術調査
- イラストの無いスライドを最初に作った
- 締切との戦い
- スピーカーガイドの存在
- 参加者数
- さいごに
Resource Requests and Limits Under the Hood: The Journey of a Pod Spec - Kohei Ota, Hewlett Packard Enterprise & Kaslin Fields, Google
やるぞ!ってなったときの小話
今回の応募では一人ではなく、友人と共同での登壇にしました。理由としては以下のようなものがあります。
- 登壇経験者とやりたかった
- 英語ネイティブ心強い
- 共同登壇者が自分にはないイラストを描くスキルを持っている。自分は技術的に掘り下げながらそれをイラストで上手い塩梅に言語化できると面白そうだと思った
これはほんと思うんですけど、経験者の人とやるなり、経験者の人にチェックしてもらうのは本当に大事だと思います。特に初登壇、初CfPの場合わからないことがあまりにも多すぎるので、ぜひレビューを他の人にしてもらってください。ツイッターでやるよって言ってる人を見たことがありますし、僕なんかで良ければ(英語レビューも含めて)お手伝いできるかもしれません :)
かなりカジュアルに共同登壇を申し込んでいる・・・。
こうして見ると、最初に声かけたときからセッション内容に関してはほぼ思いついてたんだな。
CfPの話
KubeCon US 2020が終わってから今回(EU 2021)のCfP提出期限まであまり時間がなく、ちょっと焦りました。最初にセッションやろうぜって話したのが12/6で、期限が12/13だったのでほぼ一週間しかなかったわけですね。
ちなみに僕は参考にしませんでしたが、こんな動画もありました。 www.youtube.com
というわけで、8日に以下のGoogle Docsを共同登壇者のKaslinと書き始めました。
上記コメントみたいなやりとりは多少あったものの、既に需要の高そうなセッション内容を考えられていたことに加え、Kaslinがかなりの部分を書いてくれて、助かりました。自分ひとりでやってたらしんどかったなぁ、なんて思ったりしてます。大手で人に技術を伝える仕事をしている英語ネイティブは強い。
CfPを書く上でのポイントとしては、Benefits to the Ecosystemで手を抜かないことだと思います。ここが明確でないと、なぜあなたがこのセッションを話したいのかが伝わりづらいですし、セッション概要でカバーできない(したくない)部分をここにまとめて書いてしまうことで、セッションを採択するコミッティーへの大きなアピールポイントにもなるからです。
それから、キャッチーなタイトルも意識したほうが良いと思います。これは国内外問わずだと思いますが、セッションタイトルの良し悪しで聴講者の印象が大きく変わります。興味を引くタイトルのほうが、参加をポチってくれる率が高いはずです。何度も言いますが、これは国内外問わず同じことが言えます。今回のセッションタイトルは「リソース要求/制限機能の裏側 Podマニフェストの旅」みたいな感じで和訳できると思いますが、under the hoodとかjourneyとかみたいな直接的ではない表現を使うことで面白さを少しでも出そうと頑張った結果です。極端な話、「Kubernetes Resource Requests and Limits is important!」みたいなタイトルにしてたら多分落ちてたんじゃないかなと思います(しらんけど)。
というわけでまとめると
- 一人で登壇する場合でも登壇経験のあるネイティブのチェックを受ける
- Benefits to the Ecosystemで手を抜かない
- キャッチーなタイトルを意識する
この辺は相当大事だなと思いました。
技術調査
セッション内容としてはKubernetesにおけるCPUやメモリなどのリソース管理をする機能にフォーカスした話なので、ある程度技術的に理解しておかないといけない箇所があります。マクロなデザインの話はわりとそこらへんに転がっていますが、細かい技術的背景はあんまり見つからなかったので、ソースコードを読んだり実際に動きを確かめたりしながらファクトチェックをしていきました。
当時のメモはGistで残しています。
kubeletソースコードリーディングメモ.md · GitHub
結果としてKubeletがPod作成を検知してから、ランタイムによって実際にコンテナが作成されるまでの流れから、Pod specに登録されたリソース情報がどのように活用されているかというところまで確認し、それを言語化したのがこのメモです。これを英訳してKaslinにシェアし、実際にスライドを作るための足がかりとしました。
イラストの無いスライドを最初に作った
技術調査も一通り(大雑把に)終わったところで、それをスライドの形にできないかとまとめてみました。Kaslinからは「これだけでももう本番にして良いくらいまとまってるね!」といってもらえましたが、ある意味ではそういう想定で作った資料ではあったので、想定通りに仕上がったのは良かったなという感想でした。
とはいえ今見返してみるとページ数も少ないし文字も多くて、全体的にごちゃっとして簡素すぎるなという印象を受けます。以下のドラフトをみてもらえると、最終的に発表したものの原型にはなってるものの、イラストの影響もあって結構大きく印象が違うのではないでしょうか。
あとはこれを絵にしてもらうだけですね!かんたん!(白目)
締切との戦い
Kaslinが本業で忙しくなってしまったり、僕自身も仕事であれこれあったのでしばらくスライドの進捗が悪く、録画もスケジュール通りにいかない部分もありました。柔軟に対応してくれた運営には本当に感謝しています。なんとかスライドはできたのでスピーカーノートにいろいろ書きつつ登壇までの準備をやっていきました。
セッションはすべて事前録画のため、OBSとGoogle Meetで乗り切りました。Premiere Proでカットしつつワイプでいろいろつなげてがんばったあとに提出。そのへんはまあ普通です。
スピーカーガイドの存在
KubeConにはスピーカー向けのガイドページが毎回用意されています。基本的に知りたい情報は全部ここに乗ってて、Slackでスピーカーが話す用に作られたプライベートちゃんねるもあるにはあるんですが、情報がほとんどここにまとまってたのであんまり質問とかはしなくてすみました。
Speaker Guide | Linux Foundation Events
他のカンファレンスでもこういう丁寧なガイドはあるんですかね?国内ではあまり見たことがないのでこれについては素直に親切だなぁと思いました。
参加者数
Schedによると、およそ7-800人がリソースのセッションに、3-400人がパネルのほうに参加を表明してくれていました。
実際の結果は(まだ変動するとは思いますが)今日時点では以下のような感じだったみたいです。
Hi @Kohei Ota your Panel: Your Path To Non-code Contribution In The Kubernetes Community has 364 real time attendee view + watched on demand so far. The other session Resource Requests and Limits Under the Hood: The Journey of a Pod Spec has 924 real time attendees + watched on demand so far.
コミュニティのセッションはその性質もあってツイッターやSlackがめっちゃ湧いてたんですよね。一方で技術的な内容を多く含むリソースのセッションは質問は結構飛んできたんですが感想なツイートはあんまりなくて、参加者実際どうなんだろうって気になってたんですが、結果としてはオンラインでほぼ1000人が見てくれたということで、頑張った甲斐があったなと思いました。
さいごに
次はぜひともオフラインでやりたいです。Contributor's summit参加したいよ~~~。