オブザーバビリティについて説明すると「それモニタリングですよね」みたいなツッコミをされる穴があるので、なんらかの excuseをしたいのだが、本心では オブザーバビリティとモニタリングってそもそも類似点や相違点を語ること自体がおかしくないかと思っているよ。
— 統合開発環境 (@sadnessOjisan) 2024年8月27日
これを見て
オブザーバビリティってかっこよくカタカナで言わずに、可観測性の確保って言い続ければいいんだよ。
— inductor / Kohei Ota (@_inductor_) 2024年8月28日
包含関係はある(つまり、可観測性の必須要素に監視はある)が、監視の主体とする目的が必ずしもすべて可観測性の実現によって解決されるとは限らなくて、目的が違う
— inductor / Kohei Ota (@_inductor_) 2024年8月28日
って日本語で説明したらそれっぽくなるよ
— inductor / Kohei Ota (@_inductor_) 2024年8月28日
って返事を書いたんだけど、そういえば最近の技術用語ってことごとく反射的に Katakanize(カタカナ化) することが増えたよなって思っている。
外来語の翻訳といえば福澤諭吉が有名な人物だが、他にも功績を残した人物はいて、西周なんかがそうらしい。Wikipediaよくまとまっていてすごい。
西洋語の「philosophy」を音訳でなく翻訳語(和製漢語)として「哲学」という言葉を創ったほか、「藝術(芸術)」「理性」「科學(科学)」「技術」「心理学」「意識」「知識」「概念」「帰納」「演繹」「定義」「命題」「分解」など多くの哲学・科学関係の言葉は西の考案した訳語である。
ところで、自分は Kubernetes というオープンソースのソフトウェア関連の仕事をしていて、ドキュメントの翻訳も OSS 活動の一環で携わっているのだが、自分自身の日本語能力の低さに悩みを持つことが多い。いま、Linux の文脈において「container(s)」といえばコンテナだし、「Cloud」はクラウドだし、「Cloud Native」はクラウドネイティブだし、訳語を創出せずにカタカナで表されてしまうことが少し気になっている。一方で Otel 文脈の「自動計装」という言葉は、どこが出自かは自分はわからないが、日本語的に訳出されていて偉いなと感じる。
ところで、この前 KubeCon China in Hong Kong に遊びに行ってきたのだが、daoCloud というブースで以下のような文章を見かけた。わかりやすいものを一部抜粋している。
DaoCloud Enterprise 5.0 (DCE 5.0) 是一款高性能、可扩展的云原生操作系统。
提供云原生计算、网络、存储等能力,兼容各种集群接入,支持集群从部署、版本升级、证书变更、配置变更、回收等全生命周期管理,突破 K8s API 性能瓶颈,实现企业超大规模用户并发使用多集群。 针对企业环境,提供场景化的网络方案,实现当前企业网络基础设施复用的最大化,降低企业使用云原生应用门槛。
中学の漢文の知識や、なんとなく雰囲気で知っている中国語の知識を駆使すると、意外と読める。例えば是は英語で言うところの「be動詞」、とかそのくらいは知ってる状態。
云原生が最初意味不明だったのだが、云はクラウド、原生は primitive, basic, なんだろうなー、うーん・・・。あ、ネイティブ!!!とか言ってたら実はクラウドネイティブだってことに気づいた(現地で中国人の人と英語でやりとりしてる時に)。なるほどこれはおもしろい。
高性能はそのままだし、可扩展的は多分スケールとか拡張がしやすいよみたいなニュアンスだし、操作系统は調べたら OS のことだった。なるほどなるほど。読めるなこれは。という感想
计算はコンピュートのことだろうし、网络はおそらく文脈的に(daoCloud は VMware の置き換えを謳っている)ネットワークのことだし、コンテナは容器って表現してるし、一部の無理やりな当て字以外は大体意味がわかるのでおもしろい。
今まであまり中国語圏の OSS に注意を払って見ていなかったが、今回の香港をきっかけにいろいろ見てみる気になった。まあそれはそれとして、用語の翻訳に関しては基本的にカタカナが楽だという状態をなんとかしたい。とはいえ
- 漢語にすると、普及・認知までの可読性が怪しくなる
- 漢語にすると、元の英語が想像しづらくなる
あたりは無視できなくて、翻訳ってめんどくせ〜〜〜でも英語ドキュメント読むのもっとめんどくせ〜〜〜〜〜〜って気持ちになり、精神が消滅する。おわり。